SNSをはじめ、メディアなどでも「クラウドファンディング」という言葉が世の中に浸透しつつある昨今。クラウドファンディング実施者(プロジェクトオーナー)がプレスリリースを活用してプロジェクトのPRや自らの想いを発信する機会も確実に増えています。
本記事では、広報PR活動の一環としてクラウドファンディングを行う際のプレスリリース配信機会を事例とともに解説。配信する際のポイントもあわせてご紹介します。
クラウドファンディングの実施時は広報施策のチャンス
「クラウドファンディング」とは、インターネットを通して不特定多数の人(=crowd)から資金を募る(=funding)ことですが、資金調達としてだけでなく、広報PRとして有効に活用できる側面も持ち合わせています。
クラウドファンディングの開始から終了までには、情報を発信する機会も多いもの。プレスリリースを活用してPR効果のチャンスを得るには、配信の機会やタイミングを逃さないようにしましょう。
では、クラウドファンディング実施時にプレスリリースを配信する配信機会を、事例プレスリリースとともに確認していきましょう。
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クラウドファンディング実施時にプレスリリースを配信する5つの機会
クラウドファンディングに関するプレスリリース配信のタイミングは、大きく分けて「開始時」「期間中」「一般販売リリース時」「終了時」の5つです。
それぞれの配信機会で、どのような内容を盛り込んでいくとよいのか事例のGOODポイントもチェックしていきましょう。

配信機会1.クラウドファンディング開始時
1つ目の機会は、クラウドファンディングの開始時です。クラウドファンディングは、初動が命ともいわれています。開始時にいかに多くの支援を集められるかで、メディアに注目してもらい、ニュースに取り上げてもらえる可能性が高まるからです。スタート時に勢いづけるために、プロジェクトが開始された時点でプレスリリースを出すことが重要です。
クラウドファンディング告知のプレスリリースでは、プロジェクト実施の理由やその想いを明確に伝えましょう。開発者や実施者のコメントを動画にして配信するのもおすすめです。プロジェクトが成功するとどんな効果や影響が生まれるのか、読み手が共感・想像しやすいよう工夫することがポイントです。
|クラウドファンディング開始時の事例

参考:「日本茶の香りや味を日常的に楽しむ体験を世界に普及する」chakoroのクラウドファンディングを開始
nae株式会社のプレスリリースでは、クラウドファンディングサービス「Kickstarter(キックスターター)」にて、急須付き茶香炉「chakoro」を国内外に認知してもらうための取り組みとして、クラウドファンディングの開始を告知しています。
タイトルに「日本茶の香りや味を日常的に楽しむ体験を世界に普及する」と記載し、リード文ではさらに「ものづくりのあり方を模索する」という自社の目的を明らかにしているのがGOOD。開発の背景にも触れ、自社商品ならではの魅力を積極的に発信することで、多くの人にその取り組みやこだわりを知ってもらうきっかけになっています。
配信機会2.目標金額達成時
次の機会となるのは、クラウドファンディングの期間中または終了時です。実施中の段階で「予定よりも早いスピードで支援が集まっている」など成果が見られたときや「終了前に新情報を伝えたい」といった施策がある場合は、成果・反響の内容、プロジェクトの詳細を盛り込みながら発表しましょう。
なお、一般的なクラウドファンディングでは目標金額達成=プロジェクト成功です。プロジェクト成功時にのみ支援者がリターンを受け取れるルールなので、無事目標を達成したらいち早くプレスリリースでお知らせしましょう。
目標金額よりも大幅に超過した金額が集まった場合は、ニュースとしてメディアに取り上げてもらうことも期待できます。
|クラウドファンディング達成時に向けた追加情報の事例

参考:【終了まで残り10日!】(株)アントレースのクラウドファンディングに新リターンが追加。いま支援するとプロのカメラマン&編集者による、写真撮影・インタビュー記事制作が受けられます
株式会社アントレースは、「終了まで残り10日!」という文言とともに、実施中のクラウドファンディングについてプレスリリースを配信しました。期限が迫る中、新たなリターンを3つ追加し、より魅力的なプロジェクトへと進化させています。
プロカメラマンに写真を撮ってもらえることや、本格的なインタビューが受けられることなど、支援のメリットをタイトルでしっかり訴求しているのがGOODです。検討中の人へ支援を促すのはもちろん、クラウドファンディングを知らなかった潜在層への認知も高めています。
配信機会3.クラウドファンディング終了時
クラウドファンディングのプロジェクトが終了した際にもプレスリリースを配信しましょう。参加してくれた支援者へのお礼と、プロジェクトのレポートを伝えられるとGOODです。
クラウドファンディングは、目標金額が達成したり、実施期間が終了したら終わりではありません。終了後に商品の開発や準備が遅れて、予定していた期限までにリターンが届けられないという事態も発生する可能性があります。そのため、商品到着時期の目安や、遅延の可能性なども記載しておくのがおすすめです。
応援してくれた支援者をがっかりさせないように、プロジェクト終了後の対応もしっかりと告知していくように心掛けましょう。
|クラウドファンディング終了時の事例

参考:クラウドファンディング 目標を3時間で達成。実施期間1ヶ月で448%達成。2023年8月10日(木)新スキンケアブランド「FilFARO(フィルファーロ)」デビュー。
株式会社FilFAROはプレスリリースで、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて実施したプロジェクトの結果を発表しました。1ヵ月にわたって支援を募った結果、目標の448%にものぼる金額を達成。
タイトルには、3時間で目標を達成したスピード感を明記し、さらに記事内で終了時の達成状況のキャプチャを掲載しているのがGOODです。新ブランドのデビューということもあり、支援者以外への認知を広めることで、一般販売後の購買意欲向上にも効果が期待できます。
PickUp!商品・サービスの一般販売(リリース)時
クラウドファンディングが成功して商品・サービスの一般販売が決定すれば、いよいよ一般市場にリリースすることになります。発売時にプレスリリースを配信して、メディアや一般消費者へ積極的にアプローチしていきましょう。このとき、公式販売となった経緯やプロジェクトの背景やストーリー、商品・サービスの商品価値を盛り込むことも重要です。
また、商品・サービスが一般販売されるようになった背景として、クラウドファンディングで応援購入をしてくれた支援者がいたことを忘れず、感謝の意を伝えることも忘れないようにしたいですね。
|クラウドファンディング後の一般販売の事例

参考:【楽天先行販売開始】Makuakeで1,000名以上支援!喫煙の概念を変えることができる次世代の電子タバコ「TARLESSNEXT(ターレスネクスト)」
株式会社ドロームは、クラウドファンディングサイト「Makuake」で支援を募った次世代電子タバコ「TARLESSNEXT(ターレスネクスト)」の販売情報をプレスリリースで発表しました。
楽天市場での先行販売が決定したタイミングで、具体的な発売日時や記念キャンペーンに関する情報も明記しています。GOODポイントは、リード文でクラウドファンディングでの支援数や達成金額に触れている点です。支援募集中のプレスリリースと同様のビジュアルを多数掲載することで、支援者はもちろん一般販売を待っていた人へも効果的にアプローチしています。
クラウドファンディングに関するプレスリリースを配信する際の3つのポイント
クラウドファンディングに込められた想いをできるだけ多くの人に届けるためには、メディアや生活者の目にとまるプレスリリースを作成したいものです。
最後に、クラウドファンディングのプレスリリースを配信する際の3つのポイントについて解説します。

ポイント1.支援したくなる「共感」ポイントを盛り込む
本記事の冒頭でも述べたように、クラウドファンディングのプロジェクト成功にはより多くの支援者が募ってくれること、プロジェクトに共感してくれることが何より重要です。
プロジェクトの商品・サービスの誕生には、発案者や開発者などプロジェクトに携わっている人たちの想いや理由が必ずあり、その理由や想いに読み手が“自分ごと”として共感できるかがポイントになってきます。
「共感」とは、簡単に言うと「相手の気持ちがわかる」ということです。「こんな商品・サービスを作ります」と言われるのと、「〇〇だから、こんな商品・サービスを作りたい!一緒に作りましょう!」ではどちらに心が惹かれるでしょうか。
クラウドファンディングを利用する際、そしてプレスリリースで発信する際には、いかに共感してもらえるかに焦点を合わせて、メッセージを考えていくようにしていきましょう。
ポイント2.社会性のある情報発信を意識する
「共感」を得るためには、社会性のある情報発信をすることもポイントです。商品・サービスが世の中に定着することで、どのように社会問題を解決できるのかについて発信できるといいでしょう。
また、環境問題やエコを見据えて開発した商品やサービスも、実は暮らしの中の些細なことが発端だったということもあります。プロジェクトのきっかけとなった出来事や背景を発信することで、生活者が自分ごととして捉え行動を起こすきっかけとなります。
ポイント3.プロジェクトの魅力を最大限に生かしたタイトルをつける
通常のプレスリリースと同様に、プロジェクトの魅力がひと目で伝わるタイトルをつけることも重要なポイントです。思わずクリックしたくなるような共感ポイントを盛り込むことを意識してタイトルをつけてみましょう。
また、メディアに興味を持ってもらうために、ほかのプロジェクトと比べて差別化できるポイントをタイトルに盛り込むのもおすすめです。商品・サービスの特徴やプロジェクト発足の背景を改めて整理し、プロジェクトの魅力を最大限に生かした最適なタイトルを見いだしてみましょう。
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プロジェクトの魅力を最大限に伝え多くの共感を生み出すプレスリリースを届けよう
クラウドファンディングは、そのプロジェクトに対して「共感できる」と思ってもらうことが成功への鍵となります。言い換えれば、どんなに素晴らしいプロジェクトであっても共感が生まれなければ日の目を見ないことになってしまいます。
クラウドファンディングに関するプレスリリースは、プロジェクトの紹介や説明を簡潔明瞭に書くだけでは十分ではありません。プロジェクトに至ったバックグラウンドや想い、そこに携わる人の熱意やエネルギーを読み手側が感じられることが、読み手の次なるアクションへとつながります。
クラウドファンディング実施時には、本記事で紹介した配信機会を逃さずに、より多くの人に共感してもらい、応援したくなるようなプレスリリースを届け、プロジェクトの成功を掴み取りましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
クラウドファンディング実施時のプレスリリース配信に関するQ&A
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